【初完走応援編】⑤レース当日に向けて

初フルマラソンのレース対策

初めてのフルマラソンへのチャレンジまでおよそ1か月になりました。大会当日が近づき、「いよいよ練習の成果を発揮するぞ!」という気持ちが高まってきていると思います。しかし、練習をしっかり積み重ねてきた人やハーフマラソンの大会に出場し経験を積んだ人でも、フルマラソンで最後まで自分の脚が動き続け、フィニッシュまでたどり着けるか、不安が生じている人もいるかもしれません。

実業団や学生のエリート選手でも、初めてのフルマラソンは大変辛かった、難しさを感じた、とよく言います。彼らは、練習で30~40km走を何回も行っているので、距離に対する不安はないのですが、本番では高い目標を掲げ、前半から練習以上のペースで飛ばしがちです。ハーフまでは快調でも、それ以降は未経験のペースに対する脚の持久力が追いつかず、30kmを過ぎてから大きく失速することも珍しくありません。

初めてフルマラソンに挑戦する皆さんは特に、いつもの練習ペースから大きく外れないことに気を付けてください。ペースアップしていても、大会の高揚感で、10km程度までなら辛くなく「今日は最高に調子が良いからこのペースで最後まで走れそう」と錯覚します。でも、その後早ければ15kmからペースダウンが始まります。周りのランナーの流れに乗って快適に走っている時でも、コース脇の距離表示で自分の1kmあたりのペースを計算しながら、予定どおりの最適ペースで走っているかを常に確認していきましょう。

ただ、前半を予定どおりのペースで走っていても、後半、脚の疲れからある程度ペースダウンするのは、避けがたいものです。前半に過剰なペースアップで体内のエネルギー(筋グリコーゲン)を無駄使いし大汗をかいた状態で、後半はトボトボと歩いてしまい、さらに雨風を受ければ、急激に体温が下がり、ぶるぶると震えだし、低体温症につながります。当日の天気予報に合わせてウエアの選択にも注意を払い、安全なレースを目指していきましょう。


大会直前の練習プログラム

前回提示した5週間プログラムの隔週の「時間走」はステップアップしながら行えたでしょうか?予定どおりの人にも、なかなか予定どおりにはいかなかった人にも、共通して重要な確認ポイントがあります。それは、走り続けることの妨げやストレスになる関節または筋肉の痛みがないかということです。距離への不安に加え、自分の脚の状態への不安が増せば、完走への大きなマイナス要因になります。痛みがある人は、我慢して走りこまないようにしてください。今後の練習は痛みが出ない距離、ペース、時間に抑え、無理なく大会当日を迎えることです。もし、どんなにゆっくり走っても痛みが出るようなら、ウォーキングや室内での自転車トレーニングに代え、今の体力をできるだけ維持することに注力しましょう。

それらの不安や痛みがない人は、この1か月の間に走力の最終確認と調整です。隔週で週1回取り組んできた「時間走」は「距離走」に変わります。「これまでの時間走で走れた以上の距離」を目標にペースを確認しながら走ります。ただし、ペースダウンしてまで無理に距離を伸ばさないこと、また最長は3時間までにしましょう。

例1)2時間走で計15km走れていた人の場合:
「時間走」の時の平均ペース8:00/km程でスタートし、そのペースをまずは15kmまで維持します。さらにまだ余裕があれば、同じペースが続く間は距離を伸ばします。もし20kmまでこのペースが維持できれば、2時間40分で終了になります。

例2)2時間半走で計20km走れていた人の場合:
「時間走」の時の平均ペース7:30/km程でスタートし、そのペースをまずは20kmまで維持します。さらにまだ余裕があれば、同じペースが続く間は距離を伸ばします。もし24kmまでこのペースが維持できれば、3時間ジャストで終了になります。

例3)3時間走で28km走れていた人の場合: 
「時間走」の時の平均ペース6:26/km程でスタートし、そのペースを28kmまで維持します。ただし、途中の20km地点あるいは25km地点通過時にかなり余裕があれば、その後はペースアップし、3時間まで走ります。

前回アドバイスしたようにコース設定は距離走でも重要です。ペースを確認、維持しながら走ることが大事なので、起伏の少ない公園や河川敷の周回又は往復コース(3~5km程度)を走るのがベストです。

この距離走を大会4週間前又は3週間前の週に行いましょう。その後は、大会2週間前に距離走で走れたペースで15~20km、大会1週間前に同じく10km走を行います。各週のその他の練習は、3か月前から取り組んできたジョグ、筋トレ、クロストレーニングを変わらず継続しましょう。大会直前の週は、月~金曜日の間に快調ジョグを1、2回行います。


攻略アドバイスの最後に

初マラソンは、どのような結果であろうと、カラダもココロも揺れ動く42.195kmです。初チャレンジゆえに、すべて今までなかった体験です。この体験が貴重な経験となり、今後につながっていきます。

京都マラソンへの初チャレンジ。練習の積み重ね、大会に向けた準備、そして大会当日の頑張り、そのすべてを通じて、フルマラソンの楽しさを実感してください。京都マラソンを機に皆さんが今後も末永くレースにチャレンジされることを祈念しています。

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