【サブ3.5・サブ4応援編】①ペース、時間、距離の関係

最初に
京都マラソン2017では「サブ3.5・サブ4応援枠」が新設されましたね。本編は、大会当日にこれらのタイムを目標に掲げる人を文字どおり「応援」するため、これから5回に分けて行います。昨年「中上級編」として執筆したものを発展させて、よりこの目標に絞った内容も盛り込んで行きます。

京都マラソン2016の全完走者数は15,112人でした。そのうちサブ3.5、つまり3時間30分未満(ネットタイム)でゴールした数は1,518人で全体の約10%。サブ4つまり4時間未満(ネットタイム)でゴールした数は4,410人、全体の約29%です。相当高いレベルです。

さらに、男性なら62歳以上、女性なら45歳以上の人がサブ3.5を達成すると、年齢別全国100位以内に入ります。男性69歳以上女性57歳以上の人がサブ4を達成すると年齢別全国100位以内に入ります。(雑誌『ランナーズ』集計:第12回全日本マラソンランキングより)

現時点から大会当日まで、6か月以上の期間があります。このレベルを目指すランナーは、週に2回以上走る習慣が既に身についていると思います。今後、さらにレベルアップして、サブ3.5・サブ4という具体的な目標を達成するために必要なことは何なのか?今回は、レースや練習で気を付けていただきたい、ペース、時間、距離の関係について記していきます。

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今までの走力を冷静に分析しましょう
サブ3.5・サブ4応援枠に関連して、これらのタイムを目標とするランナーは、

・タイムが伸びていてサブ3.5、サブ4に初チャレンジの人
・以前チャレンジしたが達成できなかった人
・以前達成でき、今回も引き続き達成したい人

と分けることができると思います。

初チャレンジ、未達成の人は、今回のこの目標が適切かどうかをまず分析しておきましょう。例えば、今まで2回のフルマラソンで、4時間45分、そして4時間15分と伸びており、次はサブ4を目標としている人の場合、今までのハーフマラソンのベストタイムが1時間55分以内(この数字を2.08倍すればサブ4)でしょうか。そうでなければ、現時点では自己記録更新や4時間1ケタに目標を下方修正しましょう。ハーフの記録が1時間55〜50分(2.18倍すればサブ4)であれば適切な目標設定です。サブ3.5も同様にシミュレーションするとハーフ1時間36〜41分です。

もし最近の記録がこれらの範囲より速いのに、前レースで目標が達成できてなかったなら、その原因をしっかり分析しておかないと同じことを繰り返します。

・気が付いたらハーフ地点の通過がハーフマラソンのベストタイムとさほど変わらない時間であった
・30km以降、脚が徐々に重く感じるようになり次第に動かなくなった。
・30km以降、脚が攣(つ)ってかなりの時間立ち止まった。
・30km以降、エネルギーが切れて体全体に力が入らなくなった。

以上のようなことは誰にでも起こることですが、これを繰り返さないように、ペースコントロール法とペース感覚を磨く、筋持久力のアップに取り組む、フォームを改善する、コンディショニング法を学ぶなどの対策していく必要があります。

目標タイムから考える、練習での目標ペースは?
サブ3.5・サブ4という具体的な数値目標があるので、この目標を達成できるペースでより長く走れるよう距離を伸ばしていく練習をしがちですが、実はそこには落とし穴があります。

サブ4を目指すなら、大会では1キロあたり平均5分41秒のペースになります。ただ、フィニッシュまでそのペースを落とさず走り続けるのは難しいので平均ペースより少し速い5分30秒ペース、サブ3.5では4分58秒でなく4分53秒程のペースで、練習ではより長く走らないといけない、と考えがちです。でも、「少し速いペースの練習」に固執すると、ペースに余裕がなく、練習でも20km以降大きく失速してしまい、より長く走るための筋持久力が向上していかないことも多いのです。大会3、4週間前の30km走練習で、サブ4平均ペースの5分41秒前後を維持し、30km終了時にまだ少し頑張れる余裕が残っていれば、本番でのサブ4には十分な走力が備わっていると言えます。

でも、その確認の時期はまだまだ先の話です。この夏の季節は、その平均ペースでも長く走ることは出来ません。秋深まった11月の段階でもまだ3か月あります。まずは、そのペースのみにとらわれず、余裕のあるペース感覚「かなりラク」〜「ラク」なペースで長く走る練習をし、また、「快適」〜「ややキツい」ペースで走る練習にも取り組みます(ペース感覚については、この文章を参照してください。)。この時期は、タイムにとらわれることなく、距離に応じた無理ないペース感覚(感度)で行うことにより、長い距離では脚の持久力を、短い距離では心肺機能や脚のバネを強化していきましょう。

練習プログラムに対する結果を積み上げていきましょう
次回から練習プログラムを提供しますが、目標ペースは敢えて設定しません。かなり幅のある目安タイムは記しますが、重要なことは、距離に応じた無理ないペース感覚(感度)で走った結果、タイムとペースがどうであったかということです。「サブ4を目標にするのだから、この時期に誰もが20kmを5分30秒ペースで走らないといけない」ということではありません。例えば、20kmを目的のペース感覚(感度)で走り、その結果がずっと5分50秒でも、それはそれで構いません。適切なぺース感覚を保って、目的どおりの練習ができたことになるからです。5分20秒で走っていたのに、最後の5kmが5分45秒になってしまうより、ずっと良いです。

このように結果を積み上げる中で距離が徐々に伸び、またペース感覚が変わらないまま実際のペースが徐々に上がっていけば、練習成果が出て目標に近づいていることになります。

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以上、今回は数字の内容が多くなりましたが、次回は練習法のアドバイスを行っていきます。